つい最近まで、
ちょくちょく依頼されるにも関わらず、
絶対に お断りしていた加工が
やっと、
私が納得出来る精度で出来る様になりました。

それは、
【全くネジ切りされていない】
アヘッド用フォークコラムに、
クイルステムを付けられる様に
フォークコラムにネジを切る加工です。

元々、ネジが切ってある物なら、

そのままダイスを通して、
ネジ部分を延長するだけですから
猿でも出来る作業なんですがね。


今のイタリアンクロモリフレームは、
だいたいネジ切りコラムに戻っていますが、
1998~2010年位のイタリアンクロモリフレームは、
1インチの鉄コラムなのに、
フォークブレードだけがカーボン

ミズノやタイムのカーボンフォーク等】

という、
何がなんだか、訳の分からない仕様の物が非常に多かったし、

オール鉄フォークでも、
アヘッド仕様になっている物も、
非常に多かったと記憶しています。

↓の画像は、(保管が悪くて錆び錆びですが)
Amazonで買った、中華製の
安物のフォークコラムダイスです。

ソリッドダイスですが
3千円もしなかったと思います。

https://www.amazon.co.jp/Merlintools-%E4%B8%B8%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%B9-1-24/dp/B00LHJINZM?ref=pf_ov_at_pdctrvw_dp

DSC_0009~2

何故、
こんなゴミみたいなダイスを買ったのかは、
この記事の最後の方で説明しますが、
これを買ってから、ママチャリは勿論、
私自身のデローザや、友人のコルナゴ等の
イタリアンも含めた、
【元々ネジの切られている】
昔ながらの1インチスレッドフォークの
いろんなコラムに通してみましたが、
ダイスハンドルを使わずとも、
スルスル入って行きますし、

ほんの僅かに(糸屑の様な)
切り粉が出るだけですから、
(切れ味の良し悪しは別として)
径もピッチも、完全に適合するということです。

ちなみに
以前に、フォーク改造でお世話になった、
大滝製作所さん  に、聞いたところ、
現行のNJSのフォークコラムでも
カンパのコラムダイスを通す、
との、ことですから、
現在では、
【フォークコラムのネジだけは】、
イタリアンとBSCでは、
区別は無いという考えの様です。

【BBのネジ規格は全くの別物です】

(初期のカンパ大工具の
ダイスとかタップのネジ山角度が
55度なのか60度なのか、
私は知りませんが、
カンパが競輪用のNJS用規格に合わせた
部品を作った頃からは、
NJS用では無い、ロードレーサー用の部品も、
ISO規格に合わせ、ハブシャフトやら何やら、
ほとんどが、ネジ山角度が60度になったという話を聞いたことがある様な無い様な....

現に、
シマノのヘッドパーツ【HP7410】でも、
イタリアンとBSCとの違いは、
ヘッドチューブへの
上下ワンの圧入部分の寸法と
フォークコラムに圧入する下玉押しの内径の違いだけで、上玉押しと一番上のロックナットは、
共用になっています。

つまり、ネジ込む部分の寸法は、

【シマノの様な大メーカー】でも、
今は、

BSCもイタリアンも、
ネジ山角度が【55度】も【60度】 も
クソも無く、

同じ規格として扱っているということです。
【ヘッドパーツに関してだけ】
ですがね。

ちなみに、
アマゾンで買った、
この怪しげなコラム用ダイスですが、

ダイスの外径がΦ55mmと非常に特殊なので、

日本国内で普通に流通している規格品である
【Φ57mm用ダイスハンドル】は使えず、
普通の人ならば、
これ専用のΦ55mm用ダイスハンドルを
3600円も出して買う必要があります。

それも買ったとして、
このダイスを使って普通の人が
フォームコラムにネジを立てることが
出来るのかというと、

恐らくは不可能です。

アヘッドからネジ切りにするのですから、
当然、
フォークコラムは大幅に切断することになりますが、

最初に書いた様に、

元々ネジが切ってあるコラムなら、
そのネジ山に  このダイスを通して、
ネジ切り部を延長してから切断すれば、
何の問題もありません。

ダイスを外す前に切断し、

切断してからダイスを外せば、
切り口の潰れたネジ山もキレイに戻ります。

靴のヒモを結べる程度の器用さが有れば
誰でも出来る作業です。

しかし、

全くネジが切られていないコラムに
新規にネジを切ろうとすると、

一気に、
難易度は100倍以上に跳ね上がります。

最初の切り始めの時に、
パイプとダイスの直角を出すのが
非常に重要なんですが、

ガイドを使わずに直角に保持するのは、
神業レベルの凄腕の熟練者しか無理です。

↓の画像は極端な例ですが、
切り始めに、わずかでも傾いたら終わりです。

(ちなみに、パイプはベロクラフトさんで購入したカイセイのアヘッドコラム用)


DSC_0010~2


これこそが、
素人の私は勿論のこと
コラムダイスを持っているプロショップでも
【無垢のパイプに新規のネジ切り】
を、
【断る最大の理由】です。

つまり、
完成したフロントフォークを掴めるくらいの
【大きな径のチャックを備えた旋盤】
を備え、ネジ切りバイトでネジを切れる
鉄工所とか、フレームビルダーくらいしか、
無垢のアヘッドフォークのコラムに
新規のネジ切りは本来は、
精度的に【絶対にやれない】のです。
コラムパイプ単体ならΦ25.4mmなので、
小さな旋盤でも出来ますが、
溶接して完成したフォークだと、
コラムパイプを掴む為には、
左右のフォークブレードを主軸の奥まで突っ込む必要がありますから、主軸の内径が、150mmくらいは必要で、そんな大型の旋盤を持っているところは、非常に少ないと思います。

だから、
現実的には旋盤は使わずに、
フロントフォークは
バイス等に固定して、
ダイスハンドルを手で回して
ネジ切りする。
という作業になるのですが、
無垢材に新規でのネジ切りは、
目視とカンに頼った、
失敗が許されない一発勝負で、
直角を保持しながらネジ切り出来る様な高度な技術を持つ人は、
ほとんど居ないでしょう。

パークツールのフォークコラムダイスのセットには、無垢のパイプに新規にネジ切りする場合でも直角が出る様なガイドが付いていますが、
ガイドの長さの上下幅が短いので、そんなに高い精度は出せません

そこで、

イヤでも(アホでも)

ダイスが高精度で直角に保持出来る治具を
作ってみました。

DSC_0014~2


↑これは、NC旋盤で、
Φ28の丸棒から25.44mm に、
削り落とした後に
【同軸で】1インチ24山のネジを
ネジ切りチップで切った物を
最初の画像で紹介した、安物中華製ダイスに通したところです。
最初からダイスでネジ切りした訳ではなく、
ネジ切りバイトで0.05mmくらいオーバサイズで切ってから通したので、
わずかに切り屑を出しながら入って行く訳で

軸とネジ山部の直角精度は完璧に出ているし

ダイスに通した状態で、
ギッチギチの、ガタが全く無い状態です。

コレ専用の【変態】規格である、
内径Φ55のダイスハンドル(ホルダー)は、
Amazonでも
3600円で売ってはいますが、
価格も結構高いのに、このダイスにしか使えません。

だから、
会社に転がっている【S50C】の端材で、

普通のΦ57mmダイスハンドルで使える様な
内径55mmで外径57mmのアダプターを
作ろうかと思いましたが、

そんな手間を掛けるなら、
Φ55mm専用品を作る方が精度も良いし、
NC機なら昼休みの1時間で充分作れるので、
いっそのこと、一から専用品を作りました。

実際には、内径55.5mmで作りました。
内径を0.5mm大きくしたのは、
ある程度ガタが必要な為です。

DSC_0015~2


↑は、
ネジ切りダイス本体が嵌まり、
最終的にダイスハンドルが取り付けられる
メインボディです。
コレに先ほどのガイドを通したダイスを
装着します。

外周側のメネジ8ヶ所中の4箇所から
M8のトガリ先ホーローで回り止めを兼ね、
なるべく中心になるように固定します。
(ココで使わないネジ穴に、最後にハンドルをネジ込む様になっています。)

DSC_0016~2

更に、その上から
ダイスが外れない様に固定する
蓋↓をネジ止めします。

DSC_0017~2

(穴は4ヶ所しか使わないのに、12分割もの穴を空けたのは ご愛嬌。ヒマだったからです)

ココまでは、全て仮締めに留めて、
ホルダーの中でダイスが、
ラジアル方向【外周方向】にだけ
カタカタ動く様にしておきます。
(スラスト方向にはガタはありません。)

さて、ここからが肝心なところですが、

この.ネジ切りした、Φ25.44の丸棒に
シックリとハマってガタがほとんど無い
様に作ったガイドが
↓画像の物です。

DSC_0016~3

カイセイの新品のフォークコラムは
外径Φ25.41だったので、
それ専用に内径Φ25.48で作って丁度良い感じでしたが、
最近頼まれたネオプリマートを始め、
アヘッドステムを強く締め付けた後の物は、
歪んで微妙に楕円になっていたので、
径で0.025mm刻みで3種類作りました。

DSC_0018~2


↑は、ガイドを挿入して行く途中です。

実際に加工する時は、
ネジ切りするフロントフォークに
3種類作ったガイドの中から、
一番ガタ無くスムーズに入る物を
現物合わせで選択してから、
この作業に入ります。

【ガイドを固定するネジ】
が、通る部分のバカ穴の径は、
全て0.6mm大きく空けているので、
内径ぴったりの治具を固定するのに、
完璧にセンタリング出来ます。

そして、そのガイドをネジ止めしてから
全てのネジを締めます。

これで、
【ガイドの中心とダイスの中心】が
【完全に一致】し、
尚且つ、完璧に直角が出ています。

最後に
ダイスにネジ込まれている
Φ25.44のオネジが切られた丸棒を外し、

ダイスホルダー外周部の空いているメネジに
ハンドルを取り付けた状態が
↓の画像です。

DSC_0019~2


ガイドの長さが60mmも ありますし、
内径は3種類【キッチキチでピッタリ】
の物を作ったので、
どんな不器用な人でも、
コラムにガイドを差し込んだ時点で
イヤでも完璧に直角が出ます。

【逆に言えば斜めにすることが不可能です】

だから、この治具を使えば、
ダイスを使って無垢のコラムに
新規のネジを切るという、
非常に難易度が高い作業が、

いつも ベロンベロンの
山口達也メンバー】や、
 おクスリが切れて 手が震えている
【田代マ○シ 氏】
【清水健○郎 氏】

でも、簡単に出来る という訳です。

実際には、
ココまでして完璧にネジ切りして、
ヘッドパーツを完璧に取り付けられたとしても、
Φ22.2mmのクイルステムを挿入する為に、
コラム内径を拡大する必要がある場合もく、
それが、【手回しのリーマー】だけで済む
コンマ代の削り代なら良いのですが、
削り代が多いと、エンドミルやボーリングでの加工も必要になることも多々あります。

そこまでやれる自転車ショップは
皆無でしょう。

だから、
アヘッドからスレッドに改造するのを
断るところが多いのです。
【手組みホイールが組める程度】 の
プロショップでは全く無理な仕事ですから。

フレームビルダーなら出来るでしょうがね、
フライス盤や旋盤は絶対に ありますから。

こういう時は、
金属切削業に勤めていて良かったなぁ
と、思う瞬間でもあります。

ちなみに何故、
こんな安物の中華製ダイスに合わせた
直角保持治具を作ったのかというと、

カンパは勿論、ホーザンもcyclusも、
元々、ネジが切ってあるところを
【サラえる】様に使う為に作られていて、

 特にカンパは非常に切れ味は良いけど、
【刃の靱性が全く無い】ので、

下手に扱うと、
簡単にチッピングを起こしてしまうからです。

ですから、【刃物系工具】は、
特にカンパの物は、
絶対に他人に貸してはなりません。

下手糞が使うと一発で刃先が欠けますしコンクリートの床に落とされでもしたら、最悪の場合、ダイスが真っ二つに割れます。

この安物ダイスは材質的に
焼き入れ硬度があまり上げられないし、
刃先の研削もピンピンに鋭くは無いので通した跡のネジ山は若干曇った様な面にはなるものの、
刃先がチッピングを起こすことは、
先ず ありません。
神経質に扱う必要が無いということです。

この安物ダイスで僅かにムシレながらでも、
完璧に直角にネジ切り出来ていれば、
その後に、ホーザンやパーク等のダイスを通す時は、ガイドは必要ありませんし、
絹糸くらいの微細な切り屑が出るだけです。

だから
無垢のパイプに最初の一発目の、
ガイドとなるネジを切るのは
安物のダイス、タップが適しているのです。

チッピングを起こし難いし、
そもそも、
ダメになっても惜しくは無いですからね。



これは何でしょう?

(タイトルに書いてしまってますが)

DSC_0003~3


部品構成は↓の画像の通りです。

DSC_0004~2

画像の右下側に何個かあるのは↑
ホーロー(イモネジ)です。

↓画像の様に、
内側から六角レンチで
8ヵ所を拡げる様に固定します。
(ネジ穴は40度間隔で9ヵ所)

DSC_0007~2


それでは、何の治具か解る画像を
↓に、載せます。

DSC_0001~2

  ↑は、治具に
    スプロケ
 (既に削ぎ込み加工済みですが)
   を、取り付けたところですが、

8~10速用フリーボディに、
11速スプロケが付く用に、
スパイダーアームの裏面を
旋盤で、1.85mm削ぎ込み加工する為の
治具です。

蛇足ですが、

これは、今は亡き、
超絶クロスレシオのCS6800で
11Tトップで、
【最大ローが23T】の物です。

【11T-12-13-14-15-16-17-18-19-21-23T

今はロードレースでも
最大ローに28T以下を使うことの方が
少ないので、
こんな超クロスレシオのスプロケは
今後は二度と出さないでしょうが、
これの1.85mm削ぎ込み加工は、
メカニコさんでも、
PAXさんでも

恐らくは断わられるんじゃないか思います。

何故なら、
【最大ローが23T】だと、
スパイダーアームを削るだけだと、
通常の首折れ(Jフック)スポークだと、
右側フランジから出たスポークに、
絶対に干渉するからです。

↓の 画像を拡大して見て貰えば
解ると思いますが、

e1204613~2

アルミ製のスパイダーアームに
【カシメ】られている、

【スチール製23Tローギヤ板】の、スパイダーアームに、
【カシメてある部分】
(最内周側)
と、カシメピンも斜めに削いでいます。

スパイダーアームは
アルミ製なので簡単に削れますが、
ローギヤとカシメピンは
硬質な焼入れスチールなので、
同時に削る為に、
切削条件は当然、
硬い側に合わせています。

ココまでやって、ようやく、
リヤハブの右側フランジから出る
【スポークの首折れ部分との干渉】を
ギリギリ避けることが出来るのです。

物に依るのでしょうが、
FH-5500にCS6800の11~23Tを付けたらココまで削らないと 干渉しました。

これは完全にPL法対象外なのは勿論、
カシメピンの頭も斜めに削っているので、
強度的には、かなり落ちるでしょう。

勿論、
私専用の小径車用に加工した物で、
他人からは、金を積まれてもやりません。
(鑑賞用にしか使わない)と
一筆書いて貰わない限りは...

ちなみにネット上では、

8~10速フリーハブに、
11速スプロケを付けられる様に加工すると
リヤディレイラーのプーリーケージと
スポークが干渉する可能性がある

と、言われていますが、

実は、そんなところは、
大抵は充分なクリアランスがあります。

一番、干渉する可能性が高いのは、
最大ローギヤと、
右側フランジから出たスポークの
首が曲がった部分です。
これは、
最大ローギヤが小さいほど顕著で、
刃先ではなく、カシメてある内周側がスポークの首折れ部と干渉する可能性が高いのです。

だから、
シマノの様に、プレス打ち抜きした
バラバラのギヤ板を、スパイダーアームに
【カシメる構造】ではなく、
RECONとかスラムの様に
11速スプロケを、
【インゴットから一体で削り出す】
という、製造方法なら、
最大ローギヤの内周側の径を、
大きく採れるので、
右側フランジから出たスポーク基部に
干渉する可能性は、ほとんど無くなります。
繰り返しますが、
一番最初に干渉するのは、
最大ローギヤの最内周部の、
スパイダーアームにカシメてある部分と、
右側フランジから出た
首折れスポークの首折れ部です。

【それを証明する最大の理由】が、

あの【シマノ様】が、

最大ローが34Tで、
8~10速用フリーボディにも付く
11速スプロケを、
【純正で出した】ことです。

具体的な商品名は、

アルテグラR8000
CS-HG800 11S 11-34T
(ICSHG8001111134)


   と、いう物で、


コレは正に、 
メカニコさんや、PAXさん、

  そして私がやっている、

最大ロー側のスパイダーアーム裏側を1.85mm削ぎ落とした物と、
【寸法的に全く同じ物】を、

【メーカーが純正で出した】
  と いうことです。

最大ローギヤの歯数が
34T程の大きさなら
全く問題無いというのが、
シマノの公式見解の様です。

(それを知らずに10速ホイールを売り飛ばしてしまって、激怒した人を3人程知っていますがシマノが責任をとることは当然ありません。

実際には34Tどころか、
28T以上なら、ほとんど問題ありませんが、
大メーカーだから、必要充分以上の安全マージンを大きく取らざるを得ないのですかね?

必要も無いのに、
自社の以前の規格との互換性を絶ち切って、
新しいモデルに総入れ替えさせることだけに
非常に熱心な、
【大日本シマノ帝国様が】

11速にした時に10速以下ユーザーを
切り捨てたことに対しての禊のつもりか.....


話がチョッと逸れましたが、

今回作った治具の

ホーロー(イモネジ)は、
M6ではなく、
スパイダーアームのスプラインの
谷の幅に合わせる為に、

【インチの細目】で
1/4-28 unf です。

無理矢理
メートルネギに換算すれば、
【M6.35 - P 0.907】です。
(↓画像参照)

DSC_0004~3
DSC_0001~3


【旋盤が使える環境の人】で、

10速ホイールに11速スプロケを
付けられる様に削る人なら
非常に重宝すると思います。

これを旋盤にチャッキングすれば、
最初の1個目の芯出しが済んで、
寸法が出たら、
2個目からは【ツケポン】で
同じ物が出来るからです。

材料は、SCM415の生材と、
市販のホーローネジです。

材料原価は、合わせて
2000円位でしょうか。
(ネジサイズが特殊で値段が高いので)

このイモネジ専用の
1/8サイズ(二面幅3.17mm)
の六角レンチも付けて、
3000円スタートで
ヤフオクに出したら売れるかな?


まぁ、売れないだろうなぁ。

一応、自分用以外に、
3セットは作ったけどね。

要望があれば出しますけど。(笑)

私は、
ヤフオクだけでは無く、
ヤフーショッピングも良く利用してますが、

先日、
オススメ品のメールが来ました。
それは、サイクルパラダイスという
中古自転車屋さんが出品していた、

FH7700の【24穴エアロスポーク用】
でした。

(閲覧歴から私の嗜好が分かるんでしょうかねぇ? 私の琴線に触れる品を色々勧めて来ます)

未使用で説明書付き、箱のみ無し
ということでしたが、
1万7800円で購入しました。
(発売当時の新品定価とほぼ同じ)

イメージ 1

届いてみて確認すると、
スポークの組み跡も全く無くて、
ハブ軸を指で摘まんで回してみると、
ネットリした感じで、
ゴリゴリ感は全く無く、
正しく新品未使用の極上品でした。

何故こんな古い物を2万円近い金を出して
買ったのかというと、

ご自分でグリスアップと玉当たり調整を
したことがある人なら解ると思いますが、


カップ&コーン式ベアリングのハブで、
当たり調整で無段階に調整出来て
究極に回転の軽さを出せるのは、
この FH7700が最後だからです。
FH7800は専用の大径アルミ中空シャフトに
なったのは良いのですが、
シマノのフリーハブでは唯一、

右側ベアリングの位置がボスフリー時代の
ハブと同じ様な位置に配置されていて
外側には無く、

右側ベアリングをギリギリ外側に配置出来る

という、フリーハブの最大の利点を
棄ててしまっています。
更に、

FH7900からは、
シマノは【デジタルアジャスト】
と呼称していますが、

構造は
昔の輪行用ヘッドパーツと全く同じ、
マイクロアジャスター方式に
なってしまいました。

そのギザギザが40分割なので、
玉当たりを【角度にして9度づつ】
でしか調整出来なくなってしまったのです。

私は、どうにもこれが我慢なりません。

今現在、手元に現物は無いし、
その方式になってからのハブシャフトの

ネジピッチを厳密に測ったことは無いのですが、

仮に、
それ以前と同じピッチ1.0mmだとして、
9度締めると0.025mm玉押しが進むのですが、
それでは、ドンピシャに合わせられないのです。



(一部訂正します。)

他の人のブログ記事の、
画像で見た感じでは、
ピッチは明らかに1.0mmより小さく、
0.5mmから、大きくても0.75mmだと
思われます。

私が締め合わせ方式のハブの
玉当たりを出す時は、
角度にして3度以下の領域を
何度も何度も神経質にやり直して、
完璧を目指します。

これは、シムの厚みに換算すれば、
受注生産品である【0.005mm】が
必要なレベルの微調整です。

(参考までに書きますと、
人間の頭髪の太さは0.06mm~0.08mmで、
金箔の厚みは、0.0001mmです。)

つまり、
シマノは【デジタルアジャスト】と
呼んではいますが、
偶然ドンピシャになることは
有るかも知れないが、
ほんの僅かにガタが有る状態から
1クリック進めると、

僅かに回転が重くなることが殆どだということです。

【バカチョンカメラ】
って言葉が昔はありましたが、
それと同じで、
誰もが簡単に80点のことは出来るが、
そのせいで、
熟練者でも100点満点は狙えない構造に
なってしまいました。

勿論 ベアリングは、
無負荷の回転の軽さより荷重した時の
軽さの方が重要で、
その為には、ある程度の余圧を掛けた方が
良いのでしょうが、

無段階で調整出来なくなったのが、
機械構造的に進歩なのか?
と、疑問に思います。

微妙な調整が出来ないのなら、
カップ&コーン式にする意味など無く、
台湾系ハブや、マビックの様な
カートリッジベアリング打ち替え式に
した方が、利にかなっています。

コーナリング中に斜め方向に
荷重が架かるからカップ&コーン式の方が
良いという人が居ますが、

カートリッジベアリングでも
アンギュラコンタクト形状の物もありますし、

あの
【ゴキソのハブ】は、
アンギュラコンタクトでは無い、
普通の、深溝式カートリッジベアリングです。

その点、
FH7700は昔ながらのダブルナットによる
締め合わせなので、
当然、無段階で調整出来ます。


あと、
どうしても欲しかった理由として、
24Hでエアロスポーク用
というのが一番の理由です。

昔と違って今は、

アルミでもカーボンでも、材質と熱処理、表面処理の進歩により、
リヤ24本で充分剛性が出せるからです。
(一番の理由は、昔の様な超ローハイトリムが無くなったことですが..... )

なので、
クロモリロードレーサーに使う
手組みホイールにしても次に組むのは、
リヤは24本で良いだろうと思っていたのですが、

そうなると、
リムの選択肢は星の数ほど在るのに、
ハブの選択肢が(私的には)
非常に少ないのが悩みでした。

サードパーティー製なら、
穴数も含めて重量が軽量で、
シマノよりも
回転も良い物がいくらでもありますが、

それらを使う、一番のネックは、
フリーボディがアルミの物ばかりで、
スプラインにスプロケが食い込んで
ガチャガチャになってしまうことです。
(ABGという、スプラインの1山だけに
鉄板を貼り付けた物もあるが、
大した効果は無い)

シマノ純正なら、

スプラインの山が高い7800デュラしか
アルミ製のフリーボディは無く、
他は全て、チタンか鉄製なので、食い込みの問題は全く無いのですが、
前述した様に、

7800以降のシマノのハブは構造的に気に入らないので..... 。

そこで、
このハブを見つけて飛び付いた訳です。

今でも金さえ積めばFH7700の32穴は
割りと簡単に入手出来ますが、

【24穴は非常に希少】なので。

今回入手出来たのは非常にラッキーでしたが、

私が高く評価するこのハブにも、
数点だけ気に入らないところがあります。

先ず第一に、
重量がクソ重いことです。
サードパーティー製の様にフリーボディがアルミじゃ無いことが一番大きいのですが、
中空ハブシャフトが鉄製なのも大きな原因です。

これについては既に改善策を
持っています。

イメージ 2


これは、2代目XTR(M960)の
チタン製リヤハブシャフトです。
これをエンド幅に合わせて5mmカットして使うのです。
(画像はカット済みですが、私はカット前の物を、もう1本所有しています。
つまり、今回の記事には関係ありませんが、エンド幅135mm用にも改造出来るということ)

これは勿論、今は入手不可能ですが、
7700デュラ時代は定番のチューンアップ方法で、

(SRP社からもチタン製中空軸は出ていましたが、こっちの方が安かったし、
シマノ純正だから安心感も高い)

コレに交換すると、
一般的な人の感覚だと微々たるものかも知れませんが、約21g軽量化出来ます。

私の周りでも少なくとも5人は
やっていました。
(私がやり方を教えたんですが)

何故、MTB用のXTRがチタン製なのに、
遥かに軽量性が問われるデュラが
鉄製なのか疑問を感じていましたが、

チタン軸に替えても全く剛性的には
問題はありませんでした。
【効果も感じられませんでしたが。】

あと、
もう1つの気に入らない点ですが、

それは、
玉当たり調整を究極まで追い込めるのですが、
それにはコツが必要で、
それが非常に難しいのです。

その原因は、
反フリー側のロックナットと玉押しの間に挟まる、5.8mm厚のアルミ製スペーサーが非常に柔らかいことです。

↓ピンボケですが単品で撮影しました。

イメージ 3


コレ、
7000番台は勿論、2000番台でもない、

【生のアルミ】
の様な軟らかさで、
感覚的には一円玉の様な軟らかさです。

玉押しとロックナットの間に挟まっていますが、締め合わせて行くと、
ムニュ~っと潰れて行く様な、
【スポンジーな感じ】が指先に伝わります。
コレがFH7700の玉当たり調整を
非常に難しくしている最大の原因です。

コレについても
15年以上前に解決策を見つけています。

イメージ 4


私が金属を切削する仕事で、
いろいろ工作機を使えるから出来ることですが、
A7075  (昭和呼称では 75S) の、

丸棒からスペーサーを削り出しています。
コレに交換することで玉当たり調整は、
劇的に簡単になります。

(絞め合わせ時のスポンジーな感じは、
全く無くなります)


ここまでしなくても、
ヤフオク等で、ボスフリー時代の

カンパやシュパーブのスペーサー
(恐らく2000番台のアルミ製)
が、色々な厚みで出ていますから、 (値段はけっこう高いが)
近い厚みの物を買って、

それに交換するだけで、ほぼ同じ効果を得られます。

つまり、
シマノは、このスペーサーの
【ゴミの様な材質】を
マトモな物に変えるだけで、

(恐らく材料代は数円の差)

デジタルアジャストなんて
【改悪】をする
必要は無かったのです。

昔からシマノは、
常に伝統をブチ破ることで、
革命的な物を生み出すことに執心している

【カラクリ屋】で、

タイムボカンシリーズで言う

【ビックリドッキリメカ】で
自転車業界を席巻して来たのは、
分かるんですが、

この辺りは、
金属材料の質や工作精度で勝負していた、かつてのサンツアーとか、
カンパを見習って欲しいところです。






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