2021年02月

前回の記事で、
ヒラメの縦型ポンプヘッドを
ほぼ完全に分解したところを見せましたが、
チョッと
ポカミスをヤラカシてまして、
一部、訂正します。

先ほどテーブルの上に、
こんな部品を発見しました。

DSC_0028

これは、一体、何なんだろう?
と、
しばらくは全く見当も付きませんでしたが、

最近テーブルの上で やった作業は、
ヒラメポンプヘッドを分解しただけなので、

その作業中に、見落とした物でしょう。

そこで、古い方の、
ヒラメポンプヘッドを、
同じ様に分解したらハッキリ解りました。 

DSC_0029

金属のコイルスプリングと、
樹脂製の球(3/16サイズ)で、
【逆止弁】に なっています。

ここを逆止弁にするのは、
仏式にしろ、英式にしろ、
私的には必要性は感じませんが、

ただ、
昔は必要だったのかもしれません。

安物の英式用ポンプだと逆流防止機能が無く
ポンプのハンドルが戻って来たり、
跳ね上がることもあったからです。

そんなポンプに付けても
性能を発揮出来る様に、
こんな非常に狭い所に逆止弁機能を付けた、
設計者の優秀さが分かります。

しかも、コレは、
30年以上前から市販されてるのです。

ヒラメポンプヘッドをバルブから外す時に、
全くエア漏れが無いのは、
皆さん知っているでしょうが、

ホース接続部で逆止弁があることも
一つの要因なのでしょう。

先日の記事で私が自作した
ホースとポンプヘッドの接続パーツには
逆止弁機能はありませんが、
今のところ、問題ありません。

私は、
今は フレンチバルブしか使わないし、
フレンチバルブは、
華奢な見た目と違って、
逆流することは構造的にあり得ないので、
恐らくは大丈夫でしょう。

逆止弁機能の無いポンプヘッドなんか
いくらでもありますしね。

外す時に指を直撃するタイプの
ポンプヘッドなら、間違い無くそれです。

ただ、
もし,最悪、
安物のポンプに付けた場合でも、
問題が無い様に設計された構造には
脱帽します。

なので、
問題が発生したら、ココに書きますし、
対策も直ぐに考えます。








私が15年ほど愛用しているのが
↓の画像のフロアポンプです。

DSC_0001

【既に廃盤】となっていますが、
    TNI 社の、
【ハイプレッシャーフロアポンプ】
と、いう物です。

今はモデルチェンジした
【ハイポリッシュフロアポンプ】

というのが、メーカー公式での
後継機種とのことです、

ポンプヘッド(口金)は
自転車趣味人なら必需品とも言える
【ヒラメ】の縦型に交換しています。

今回の記事は、
このポンプのホースを若干長くしたいのと
↑のヒラメ縦型口金とホースの接続部の
見た目を格好良くしたい
 と、いう趣旨です。

その前に、このポンプ本体の性能が
非常に素晴らしいのでチョットだけ書きます。

当時5千円くらいで購入したのですが、
全く壊れる気配すらありません。
恐るべきコスパです。

土台のプラスチックの足踏み部が、
経年劣化で割れさえしなければ、
一生物と言っても過言では無いでしょう。

自社工場を持たないTNI社ですから、
製造はGIYOというメーカーの
OEM品だということらしいです。

DSC_0002

コレが、非常に優れ物でして、
メーターは18bar(気圧)まで刻まれていますが、
実際にビットリアの
ピスト用チューブラーに14bar入れた時でも、
大して苦労はしませんでしたし、
ロードレーサーの6.5bar~8bar程度なら、
友人の娘さんの,
身長150cmくらいの中学1年生の女の子でも、
【楽々】とまでは言いませんが、
そんなに頑張らなくても普通に入れられます。
つまり、
押し下げる時の反力が小さくて
スコスコ入るということです。

それは、
シリンダー径が細いからなのですが、
その割りには、1回1回の空気吐出量も多く、

継ぎ足しで6.5barから7.5barに上げる程度
なら、5ストロークもせずに完了します。

更に素晴らしいのが、
エアゲージの正確さです。

足元に設置されているので、
老眼のオヤジには
ポンピング時に数字は見えませんが、
メーター外周部にリングがあり、
それを回すことで赤い矢印を好きな数値上に
設定出来るので、
その赤い矢印に針が合うまで入れれば良いだけですから、
数字が見えなくても問題無いし、

何より凄いのは、

大抵のフロアポンプだと、
【ヒラメの口金を付けていた】としても、

ポンプ側のメーター読みで8bar入れて、
その後に単体のエアゲージで測ると、
大抵は6.8bar~7.3barと
1barくらいは低く表示されるのに、

このポンプのゲージ読みで8bar入れた後に、
単体ゲージで測っても、
7.7~7.9barくらいを指し、
単体ゲージと ほとんど変わりません。

ただし、
繰り返しますが、コレは、
ヒラメのポンプヘッドに交換した後の話です。

つまり、
ポンプ側のゲージ部に架かる実測値では無く、
ゲージ部からホースを通りバルブを通過し、
チューブ内に到達するまでの圧力損失と、
バルブから口金を外す時に一瞬だけ漏れる分の損失までも考慮し、
実際にチューブ内に入ったであろう圧力を
見込んだ】
メーター表示になっているということです。

このゲージの正確さだけでも、
単体ゲージが不要になることを考えると
他のポンプは使う気になりません。

もう一つ素晴らしいのは、
内部を分解して感心したのですが、
壊れようが無い非常にシンプルな造りだし、
ピストンのパッキンが、
専用のゴムシールとか、
旧シリカの様な革製ではなく、

普通に市販されている
規格品のOリングであることです。
【P22A】 という、一般的な規格で、
チョットしたホームセンターなら
まず置いてありますし、
勿論、Amazon や MonotaRO でも買えます。

値段は、
MonotaROで、

1本が、【49円】でした。

だから、他に何かを買う時に、
一緒にまとめて買わないと、
当然、送料の方が高くなります。

分解時も、全く傷んではいませんでしたが、
念の為に2年前に交換しています。
良質のシリコングリスをタップリ塗って。

規格品のOリングですから、
今後も何時でも容易に入手出来ます。
つまりは、
パッキン交換することで、
半永久的に使えるということです。

他にこんな性能の良いポンプは、
ポンピングの軽さとエアゲージの正確さだけなら、
今は売ってるのか知りませんが
SKSのレンコンプレッサーくらいですかね。
値段はコレの3倍くらいした覚えがありますが。

尚、
最初に書いた通り、

このポンプの、TNIの後継機種は、

【ハイポリッシュフロアポンプ】
と、いう、ピカピカにバフ掛けされた物が
現行製品として売っていますが、
構造と性能まで引き継がれているかは
知りません。

シリンダーは見た目は同じみたいですが、
土台部分が大きく形が変わっているし、
何より、使っている人が周りに居ないので..........

ネット上では楽々13bar入ったなんてレビューも多いですから、
恐らくはデザインを変えただけだとは思いますがね。

因みに、純正の口金(ポンプヘッド)は、
買った日に、即 取っ払い、

DSC_0004

↑の、ヒラメ縦型に交換しています。

【悪評高き】 このポンプ付属の純正口金は、
外す時にブシューと盛大に空気が漏れる上、
跳ね返ったレバーが指を直撃して
かなり痛いらしいのですが、

それが本当なら、せっかくの正確な
ポンプ本体に付いているエアゲージも、
全く意味が無くなってしまいますね。

一度も使わずにゴミ箱に棄てた私には
関係の無い話ではありますが。

↑画像のヒラメの口金は、
その前に10年ほど使っていた、
旧シリカのピスタに付けていたのを移植した物でして、
パッキンを何度か交換しながら、

恐らくは25年くらいは使っています。
(古いモデルなので接続部のパイプが
真鍮地剥き出しの色です。)

私は一応、横型も持っていますが、
横型は工具箱の奥に永年眠っています。

ディスクホイールに使うのでなければ、
私的には ですが、
【上から下に親指を下ろす】
という、自然な動作の
縦型の方が圧倒的に使いやすいからです。

今回の本題のホース交換(延長)についてですが、

TNIポンプの純正のホースでも、
ゴムホース部分だけで950mmあるので、
フロアポンプの中では、結構長い方だとは
思うのですが、
友人達と私の自宅前で待ち合わせして
ツーリングに行く時など、
いつも数台の自転車に空気を入れる時に、
フロアポンプのホースが、
あと数10ミリ長ければ楽なんだがなぁ
と、思っていたのと、

ヒラメ縦型は【性能的】には
完全に満足してはいますが、
数点だけ気に入らないことがあるので
改良したかったからです。

DSC_0004~2

↑  先ず、それはコノ部分です。

まぁ、
年月も経って汚ならしいのもありますが、
コノ、
イカツイ形のホースバンドで締めるという
方式が気に入らないし、
ホースバンドから口金までの距離が
無駄に長いのも気に入りません。
たまに指に当たって、
痛くは無いものの、鬱陶しいですし。

もうチョッと、
【シュッとした格好良い接続方法】
は、無いのか?

そこで、↓こんなのを買ってみました。

DSC_0005


DSC_0006

AN4規格のナイロンメッシュホースと、
アルミのフィッティングです。
(画像のホースは2m買って、ホース交換に
使って余った切れ端ですが)

因みに、
ステンメッシュホースにしなかったのは、
固過ぎて曲げ半径が50ミリ以上になってしまうのと、表層にステンレスメッシュが剥き出しなので、
誤って自転車フレームの塗装に傷を付けてしまう恐れがあるからです。

今回買ったナイロンメッシュホースでも、
内側に1層だけステンレスメッシュ層があり、
耐圧性は、本来は油圧ブレーキ用なので、
エア圧用には超絶オーバースペックだし、
曲げ半径が25mmで
純正ゴムホースの15mmよりは固いものの、
そこまでキツいRで曲げて使うことなど
有り得ないので、

それが問題になることは無いと思ったからです。

そもそも、
液体では無く、圧縮すれば縮む空気なので、
10気圧以下程度の領域であれぱ、
安物のフロアポンプのゴムホースでも
ホースの膨張なんか全く起こりませんが、
【見た目の格好良さ】の為だけに、
ナイロンメッシュホースにした訳です。

赤と青のアルマイトが格好良い
アルミのフィッティングは、
アールズとか、ランマックスの
格好だけ真似した
【中国製のバッタ物】
を、アマゾンで250円で購入しました。

フロアポンプに使うのだから、
壊れたとしても、
命に関わる部品では無いので..........

DSC_0017

こうした部品のネジは、
AN規格というものらしいのですが、

マイクロメーターとピッチゲージで
測った結果、

赤い部品の雄ネジと雌ネジは、

【3/8-32UNF】  で、

青いナット部分の雌ねじは、
【7/16-20UNF】  です。
ネットで調べると
そのネジ規格は
本家本元と同じということです。

ホースに取り付けると、
↓こうなります。

DSC_0021

ほほう!
なかなか格好良いじゃないですか!

後はこれをヒラメの口金に接続する方法ですが、

DSC_0007

↑今回は勉強の為と、
分解時にブッ壊してしまって
元通りに組み付けられない可能性も考えて、
新しく【ヒラメ縦型】を購入し、
ほぼほぼ、完全に分解してみました。
【開閉レバーだけは今回は抜いてませんが】

そこで今回のキモになったのが、
↓の部分で分解に非常に苦労しました。

DSC_0008

↑この様に、
薄型の二面幅7mmのスパナを架けて
緩めようとしても、
ガッチガチに固まっていて、
部品側のスパナ架けのスリットが舐めるか
スパナの口が開いてしまうかの
どちらかの様な感じで、
外せる感じが全くしません。

一般ユーザーがコレを外すことは
普通は考えられないでしょう。
逆に簡単に外れては困るし、
二度と外すことが無いから、
【最高強度のネジロック剤】が、
使われているのでしょう。

しかし、
そんな場合でも簡単に外せる可能性があります。
それは、加熱することです。

今回、実際にやったのは、
予熱したオープントースターに入れ
230度で5分回しただけです。

勿論、Oリングやパッキン等の
熱に弱い部品は全て外してからですよ。

コレでネジロック剤は強度レベルに関係無く
【完全に死にます】
ポロポロと白い粉状になります。

触れるまで冷ましてからスパナを回すと、
呆気なく 簡単にゆるみました。

ポロポロになったネジロック剤を
キレイに掃除したのが
↓です。

DSC_0010

↑の真ん中の部品はステンレス製の様で

両側にM8-P0.75のネジが切られています。

(チェーンリングをクランクアームに留める
ボルトと同じ規格の細目ネジです)

それがネジ込まれる
左側の真鍮製の部品は
本体内部のピストン部分です。

つまり
この左側のピストン部分の M8-P0.75 と、
ホース端部フィッティングの 7/16-20UNF を
何らかのアダプターを介して
接続すれば良い訳ですが、

そんな物は、
当然、この世に存在しません。

と、いう訳で作ってみました。

DSC_0018

M8-P0.75 と 7/16-20UNFの
接続アダプターです。

あまり意味はありませんが、
14mmスパナでも10mmスパナでも
回せる様に作ってみました。

材質は、SUS316Lという物で、
一般的に流通しているSUS304より
チョット高級な物です。

蛇足ですが、
SUS304は、食器業界では、
普通に スプーンやフォークに使われる、
18-8ステンレスのことです。

鉄に、クロムが18%、ニッケルが8%
添加されています。
磁性は、ほぼ有りませんが
加工硬化で僅かに出ることもあります。
のむラボさんがコキ下ろしている
星の、ステンレススポークがコレです。

SUS316は、高級食器で18-12とも言われ、
ニッケルが12%まで多くなり、
その分、腐食には非常に強くなり
海洋施設にも使われています。
磁性は完全に有りません。

まあまあ良い形に削れましたが、
ステンレス地肌が派手派手に光り過ぎなので、
ガスコンロで焼き色を付けてみました。

DSC_0022

アレ?

もっと青っぽくチタンマフラーみたいな
焼き色が付くと思ってやったのですが、
なんだか汚ならしくなってしまいました。
画像より実物はもうチョイ青っぽいのですが、蛍光灯の下で撮影した画像は
ウンコの様な汚い色に見えますね(笑)

まあ良いか、
コンパウンドで磨けば元の銀色に戻るし。

とりあえず、ポンプヘッドに繋げてみました。

DSC_0018 (1)

う~ん、なかなか格好良いですなぁ。

古い方と並べてみると、

DSC_0017 (1)

かなりイケてるんじゃないでしょうかね?

機能的にも、ホースバンドが掌に当たることも無くなりましたし。

後は、ポンプ本体の足元に接続するだけですが、
元々のホース端部の固定具が使えるのでしょうか?
多分無理でしょうが
一応外して確認してみます。

DSC_0020 (1)

DSC_0023

案の定、
再利用不可能な柔らかい樹脂製で、
引っこ抜いたら、
ホース内に差し込むカエシ部分が
千切れてしまいました。

しかし、
ゲージ側にネジ込む部分のネジ規格は、
M8-P1.25(並目)だと分かったので、
接続するニップルを作りました。
材質は同じSUS316Lです。

DSC_0020

これは、
私が嫌いな見た目がダサい
ホースバンドで締める方式ですが、どうせ見えないところだし
二度と触ることも無いので妥協しました。

DSC_0024

  ↓それでは完成形ですが、

DSC_0025

1718e58e~2


我ながら、なかなかの出来映えです。
誰も褒めてくれないので自画自賛です。

実際に空気を入れてみましたが、
ポンプ本来の性能も
改造前と何ら変わりません。

.....しかし..........

1.5mまで長くしたのは、やり過ぎでした。
純正ホースより固くて曲げ難いこともあり、
取り回しが 鬱陶しいくらいです。
1.2mくらいにしておけば良かった。

勿論、
チョッと切って繋ぎ直せば良いだけですが、
ホース端部にニップルをカチ込むのが
非常に固く、結構な体力を使うので、
当分の間はやりたくありません。

因みに 
トピークのJoeblow Twin Turboというモデルが、ホース単体で【1.28m】で、
それが市販品では最長らしいのですが、
何種類もの長さでテストを繰り返して

それより、ほんのわずかでも長いと
非常に使い難いというのを
突き詰めた結果なんでしょうね。

長い方が便利ではあるが、
長過ぎたら使い難いという..........

長い分には困りゃしないだろうという
軽い考えで必要以上に長くした
今回の私の改造は、

正に、

過ぎたるは及ばざるが如し。(笑)











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